代表的疾患と治療法

腎がん

代表的疾患と治療法タイトルイメージ

腎がん

腎がん(腎細胞がん)は、腎臓に発生する悪性腫瘍の総称で、成人に発生する腎がんの約90%を占めるのが腎細胞がん(Renal Cell Carcinoma, RCC)です。

主な症状

腎がんは、初期には無症状で経過することが多く、健診や他の病気の検査中に偶然発見されることが増えています。ただし、がんがある程度進行すると以下のような症状が現れます。

  • ・血尿(痛みを伴わないことが多い)
  • ・腰背部や側腹部の痛み
  • ・腹部にしこりを触れる
  • ・体重減少、倦怠感
  • ・発熱(原因不明の微熱)

稀な症状や随伴症候として、高カルシウム血症(悪性腫瘍による副甲状腺関連ペプチド分泌)、高血圧、多血症(エリスロポエチンの過剰産生)、左精巣静脈瘤(腫瘍による腎静脈圧迫)が挙げられます。

診断と検査

腎がんの診断には、画像検査を中心としたアプローチが基本です。以下のようなステップで診断を進めます。

画像検査/超音波検査(腹部エコー)
初期スクリーニング。
造影CT検査
最も重要な診断ツール。腫瘍の大きさ・形状・転移の有無を評価。
MRI
静脈浸潤の評価やCT造影ができない場合に有用。
尿検査・血液検査
血尿の有無、腎機能の確認。LDH、CRP、白血球、Ca値など予後予測因子としても利用。

腎がんの進行度分類(TNM分類)

T1~T4(腫瘍サイズ・浸潤範囲)、N0/N1(リンパ節転移)、M0/M1(遠隔転移)によりStage I~IVに分類。

Stage I
T1(T1aまたはT1b)、N0、M0
腫瘍が7cm以下で腎臓内に限局。リンパ節・遠隔転移なし。
Stage II
T2(T2aまたはT2b)、N0、M0
腫瘍が7cmを超えているが腎臓内に限局。転移なし。
Stage III
T1–T2、N1、M0 または T3、N0/N1、M0
腎静脈や脂肪組織への浸潤、またはリンパ節転移があるが遠隔転移なし。
Stage IV
T4、N任意、M任意 または M1
Gerota筋膜を越えて浸潤、または遠隔転移がある。

治療

治療法は、がんの進行度、患者さんの全身状態、腎機能、年齢などに応じて選択されます。主に「手術」「薬物療法」「経過観察」の3つがあります。

手術療法

  • ・根治的腎摘除術:腫瘍が大きい場合に腎臓ごと摘除。
  • ・腎部分切除術(腎温存手術):T1腫瘍(7cm以下)では有効。近年はとくに小径腎がんに対してロボット支援下腎部分切除術が選択されることが多く、川崎医科大学においても積極的に本術式を採用していま

まとめ

腎がんは早期発見が難しいものの、画像診断の進歩によって早期診断される機会が増えています。ステージに応じて手術、薬物治療、経過観察が選択され、特に進行腎がんに対しては免疫療法の進歩が治療成績向上に寄与しています。
患者さんの状態に応じた多様な治療戦略の中から、最適な治療法を選ぶことが重要です。川崎医科大学では、患者さんそれぞれの状況に応じた最適な治療を提案することを最優先にしています。

Contact

お問い合わせ

川崎医科大学附属病院

診断書ありのご予約
またはお問い合わせはこちら

086-462-1111

診断書なしのご予約はこちら

086-464-1548

予約受付時間

平日
8:30~17:00
土曜
8:30~12:30

川崎医科大学総合医療センター

ご予約・お問い合わせはこちら

086-225-2111

予約受付時間

平日
8:30~11:30、13:30~16:00
土曜
8:30~11:30